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「力なき者たちの力」を読む

「力なき者たちの力」は社会主義体制崩壊後の初代チェコ共和国大統領となったヴァーツラフ・ハべル(ハヴェル)の著書です。ハベルは1989年のチェコスロバキアビロード革命を実現化した劇作家です。ポスト全体主義と表現される体制側に何度も投獄されるなかで、この本を書き上げ、市民による非暴力活動で民主化を果たした人です。私はNHK Eテレの100分de名著で初めて知りました。

社会主義イデオロギーに縛られて、事実を口にできない当時のチェコスロバキアは、新型コロナの拡散を最初に発見した医師が処罰された某国と同じだったようです。事実より政治的力が優先する社会は、いずれ、崩壊する社会であるとこの本は伝えています。私が一番共感したエピソードはハベルがビール工場で働いていた時のエピソードです。ハベルは劇作家で1968年までは、彼の作品は劇場で上演されていました。しかし、同年8月にワルシャワ条約機構軍がプラハを占領し、「正常化」の1970年代になると彼の作品は、劇場でほとんど上演されなくなります。「正常化」の時代に当局から睨まれた演劇関係者は、自宅や別荘に少人数の観客を集めて作品を発表するとともに、生きていくために他の職業につかざるを得なくなります。ハベルもこうした「自宅劇場」を利用した一人であり、また1974年から北ボヘミアのビール工場で働くことになりました。この時のエピソードが「力なき者たちの力」に書かれています。以下に要約したその抜粋を紹介します。

「1974年、私がビール工場で勤めていたころ、上司はSという人物だった。ビールの製造のことをよく理解し、貴族のような誇りを自分の仕事に持っていて、工場でよいビールを造ることだけを考えていた。しかし、工場の主導権を握っていたのは、この分野にそれほど詳しくもなければ、この仕事にたいした関心もない、けれども政治的に影響力を持つ人びとだった。工場の経営はどんどん傾き、Sの提案に反応しなかったばかりか、Sに対して敵対的な態度を取るようになり、Sの仕事を妨害するようになった。最後は、Sは政治的に有害な人物と見なされ工場から追放されてしまった。」

皆さんは、こんな理不尽な経験はありませんか。無理解で無能な上司に理不尽な命令や指示を受けた時に、ちゃんと反対意見を言える職場でしょうか。どう考えてもおかしいし、こんなことをやっていたら、会社の業績的にもマイナスと分かっていても一応、上司の命令は命令です。黙って従うのが一番無難です。会社が損をしても、それは経営者の問題で一社員である自分の問題ではないと考える自分もいます。でも、一方でよい仕事をしたいという自分のプロ魂もあります。

そんな時、自分は中学校時代の部活顧問の先生の教えを思い出します。それは「チームが確実に負けると分かったら、その後、どう振る舞うべきか」という教えです。「お前ならどうする」「手を抜くか」と言われ、即答できませんでした。先生の教えは、「チームは負けた。でも○○は頑張ったと言われる選手になれ。必ず、そこから道が開ける」という教えでした。チームが負けたからと言って選手生命が終わる訳ではありません。試合の勝ち負けは選手の責任ではなく、監督の責任です。どんな負け試合でも、選手である自分にとって最高のスーパープレーができれば、必ず、どこかから声がかかるはずだということです。この言葉も社会人になってから、自分を勇気づけてくれました。最低の職場の最低のチームで頑張っていた時に、この教えが自分を勇気づけてくれました。監督を上司、選手を社員と読み替え、「チームとしてはこの職場は負けかもしれないけれど、自分は自分のベストを尽くして与えられた仕事を頑張ろう」と、この教えのおかげで心から思うことができました。

悔しいけれど、理不尽な上司に敵対してもつぶされるのがオチです。自分に与えられた職責の中で、最高の仕事をすることが突破口になるような気がします。

ボクシングの村田諒太さんの話で、学生時代喧嘩に明け暮れていたころ、先輩相手に完全勝利だった喧嘩について、「村田は負けた」という噂を言いふらされ、「こんなやつらばかり相手にしていて何になる」と考えて、「リングの上で強いことを証明するのはかっこいい」と考えてボクサーを目指したという話を聞いたことがあります。この話も私を勇気づけてくれました。

馬鹿な上司は相手にしてもしょうがない。自分は結果や顧客のことを第一に頑張り、そこで自分の正しさを証明しようと思えるようになりました。

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